B型肝炎
B型肝炎ウイルスに感染している人の血液や体液を介して感染することにより起こる病気です。感染経路としては、母子感染や後天性の性的接触、輸血、臓器移植、刺青、針刺し事故などがあります。B型肝炎は感染した時期や健康状態によって、一過性感染で終わる場合と、6ヶ月以上にわたって感染が持続する持続感染に分けられます。
持続感染している方が発病すると、B型慢性肝炎になります。 B型慢性肝炎の治療は大きく分けて、抗ウイルス療法と肝庇護療法があります。いずれにしても、ウイルスを体から完全に排除することが難しいため、治療の目的は「ウイルスの増殖力を低下させ、肝炎を沈静化させること」となります。
抗ウイルス療法では十分な効果が得られなかったときでも、肝庇護療法を続けることで肝硬変への進展を抑えたり遅らせたりすることが期待できます。
C型肝炎
C型肝炎に感染している人の血液や体液を介して引き起こされる病気です。感染すると70~80%の方が持続感染し、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する要因となります。治療にあたっては、C型肝炎ウイルスを体内から排除することが重要です。以前はインターフェロンを用いた治療がおこなわれていましたが、現在はほとんどの方がインターフェロンフリーの飲み薬で対応します。
A型肝炎
A型肝炎ウイルスにより引き起こされる病気です。このウイルスを持っている調理人の手から食べ物に付着したり、A型肝炎ウイルスが自然に集まった貝を生で食べたりすると、発症することがあります。約1ヶ月の潜伏期間を経て発症し、発熱や倦怠感、黄疸が現れます。
多くは数週間の入院で治癒し、後遺症も残りません。症状は気づかないほど軽いケースもありますが、劇症肝炎になることもあります。我が国では衛生状態が良いので、あまり問題とはなりませんが、東南アジアなどの流行地に渡航する際にはワクチン接種を受けるよう、お勧めします。
非アルコール性脂肪肝炎
自覚症状は殆どないのですが、お酒を飲まない人が脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。主な原因は、肥満、糖尿病、脂質異常症、薬剤摂取などとされていますが、詳しいメカニズムはいまだによく解明されていません。
確定診断の際は、血液検査などでは判断がつかないため、肝臓に針を刺し、肝臓の組織や細胞の一部を採取する肝生検を検討します。治療に関して言うと、生活改善が大切です。低エネルギーで栄養バランスのよい食事を心がけ、適度な運動を取り入れます。こうした生活改善によっても肝機能異常が治らない場合は、薬物療法が行われる場合もあります。