ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃がんや胃・十二指腸潰瘍などのリスクを高めてしまう細菌の1つであり、正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
ヘリコとは「らせん状」という意味で、バクターはバクテリア、ピロリは胃の出口を意味する「ピロルス」というラテン語に由来します。「らせん状」の体に「べん毛」とよばれるしっぽのような構造物をもち、これをくるくるまわしながら動きまわることもできます。
胃の中は、胃酸により強い酸性の環境ですから通常の菌は生きていけません。しかしながらピロリ菌は自身のもつ酵素「ウレアーゼ」の力で胃酸を中和しすることで、胃内に生息しつづけることができるのです。
胃がんとピロリ菌
ピロリ菌に感染したからといって、必ず胃がんや潰瘍ができるわけではありません。しかし、ピロリ菌に感染するとほとんどの人で胃粘膜が炎症を起こします。炎症が持続することで胃粘膜の腺組織が萎縮し、萎縮性胃炎と呼ばれる状態になります。この時点で症状のある方は少ないですが、胃がんを発症するリスクが高くなってしまいます。そのため、出来るだけ早い時期にピロリ菌を除菌するようお勧めいたします。
ピロリ菌の検査
当院では、胃にピロリ菌がいるかどうかの検査を、息や尿、便、血液を用いた方法で行っております。患者様の状況にあわせて選択させていただきます。
ピロリ菌の除菌
検査によってピロリ菌が見つかったときは、薬で退治すること(除菌)をおすすめします。具体的には、胃酸の分泌を抑える薬と抗生物質、整腸剤を組み合わせて7日間服用します。服用終了後から約1ヶ月後以降に、除菌療法の効果を判定します。最初の除菌療法でうまくいかなかった場合は、抗生物質の種類を変えて再度、除菌療法を行うことができます。